AV女優になるのではないかという件について[追記]

一年前にハタチだった私がアメーバブログで公開した文章を、思うところがあって再掲します。

当時とは状況が違うのと、公開後にいくつかの指摘を受けたため、修正、訂正したい箇所もありますが、とりあえずそのままで全文を掲載します。

『AV女優になるのではないかという件について』

私は地下アイドルという肩書きを持ちながら、成人誌で文章を書いたり、泥レスのようなキャットファイトを主催したりしています。

特殊な立場ゆえ、以前から「AV女優になるの?」と問いかけられることが多かったのですが、20歳になってから益々その問いが増えてきたので今まであえて公にしなかった考えを話します。

地下アイドルという自分の肩書きについて「売れないアイドル」という説明をよくします。私の活動内容を抜きにしても、はたから見て売れないアイドルが最もAV女優という職業にリーチしているというのは分かります。

地下アイドルである以上、その問いを投げかけられるのは自然なことであり、いちいち本気で対応することではないと考えていました。

私としてもこんなダサい話を丁寧にしたくないです。ではなぜ、今回この問いに対応するに至ったのか
最初に今までこの話題を避けてきた理由についていくつか説明します。

まず、私が最も大切にしている周りの人間(このブログを熱心に読んでくれているファンや家族など)はそんな問いにぶつからないからです。

次に、先述した通り、地下アイドルという肩書きには付きものであっていちいち対応するような大きな問題ではないということです。
逆に売名に繋がる可能性すらある大事な話題です。

姫乃たまが脱いだ!!?みたい曖昧な見出しを週刊誌にいつか付けてもらいたいものです。

そして、姫乃たまがもしかしたらAV女優になるかもしれないと、淡いエッチな期待を持って見守ってくれている層に夢をもっていてもらいたかったからです。

肝心の対応するに至った理由ですが、一言で言うと腹が立ったからです。

「AV女優になるの?」という問いをぶつけてくる人間にもいろんなタイプがいます。

まず下心丸出しでニヤつきながら聞いてくる人。
こういうタイプの人間は成人誌でライターをやっているというと100%「ヤらせてくれるの?」と聞いてきます。

なぜアダルトでお金をもらってる人間が、無償で性行為に及んでくれると思えるのか疑問であります。
無償で虫歯を直してくれる治療魔の歯科医の友人でもいるのかもしれません。
とは言え、こういうタイプの人はいいのです。そういった層にアダルトで夢を与えたいからです。

困るのは説教したいタイプの人間です。

たしかにアダルトの仕事は差別されたり偏見の目で見られることがあります。
どんなに仕事に誇りを持っていても、自分の職業を大声では言えない場面だってあります。

説教したり諭したくなるのも分かります。言っていることは真っ当だし、中には悪意なく本気で心配している人もいます。だからたとえ相手がどんなに酔っ払って自分のやっていることをどうこう言ってきても私は言い返したことはありません。

同じような話をされたことは今までもたくさんあります。地下アイドルを始めた四年前、18歳になった時、そしていまです。

18歳の時は周りが本気で心配してくれているのが分かりました。20歳になった私に投げかけられるのは私のことをよく知らない酔っ払いからの、成人とくっつけた説教です。

思わず説教という嫌な言い方をしたくなるようなクダです。

そういう人が言う「AV女優なんかになるな」という言葉に本当に腹が立ちます。

私はAV女優ではありません。自分が同じ立場ではないのに、自分の憶測で何かを言い返すのは間違いだと考えています。だから今まで言わずにいましたがそれは職業差別だと思います。

AV女優なんか、というのはなんですか。"なんか"ではありません。立派なお仕事です。

みんなが昼間働いてる間に体を使って楽して云々などと言われるとひっくり返りそうになります。

彼女たちがやっているのは、みんながやっているのと同じ性行為ではありません。しかも説教してるあなたが言う通り人生をかけてるんです。

たまに女性を卑下しているという旨の話をされますが、アダルト業界の人はみんな女の子の股にごはんを食べさせてもらってるんです。感謝してない人なんて(少なくとも私の周りには)いません。

私はAV女優という職についてる女性を尊敬しています。自分の性を最大限に使って異性を満足させたり夢を与えたりしているその姿を尊敬しています。

アダルト業界で働く人たちのことも好きです。人の痛みを分かっている人が多いからです。

もちろん、他のどんな場所とも同じようにいい人ばかりでないのも理解しています。

でも私はアダルトの仕事もアダルト業界の人も好きなので、地下アイドルのままアダルト業界をうろうろし続けたいです。

もしAV女優になるのが嫌だと思っている人以外で、いまの私の活動に不満や嫌悪感がある人がいたらそれはもうどうしようもできません。私は常にエッチなものと併せて面白いことを求めて泥レスも写真集も成人誌のライターも成人同人漫画の主人公もやっています。

もっとこうしたら面白かったのにと悔しがったり反省することはありますが、こんな仕事したくなかったと後悔したことはありません。

あと、いまAV女優にしてください!なんて言ったら周りに「二年はやく来いよ!」って怒られたり笑われたりします。

儲かるからってAVに行かないで!と涙目で訴えてくる人は日本にいる女優さんの数とギャラを調べてから出直してきてください。あと恵比寿マスカッツを見てく ださい。私がAVに出たらネットで言うところのウンコ食わされます。下手したら人間とヤらせてもらえないかもしれません。

だからアイドルの姫乃たまちゃんがAV女優にならないで!とか、どうか言わないでください。

無理です。あっという間に業界から干されます。

そしてそれを言われるのは、トップアイドルになって!って言われるのと同じくらい恥ずかしくて恐れ多いんで。勘弁して……。


ダサい話おしまい。

2013.3.13 姫乃たま

追記

わあ、自分が書いた昔の文章ってすごく恥ずかしいものですね。すごく怒ってるし、すごく改行が多くて……。

 

この文章を公開してすぐ地下アイドル活動をしているという方から、地下アイドルを売れないアイドルと書くのはやめてくださいとのご連絡をいただきました。

当時は本題に夢中で、地下アイドルの説明と、地下アイドルの中での私の立ち位置についての記述が少なかったので、

トップアイドルになって!って言われるのと同じくらい恥ずかしくて恐れ多いんで。

 という最後の文章に関して「どうしてトップアイドルを目指さないの?」という質問もいただきました。

 

地下アイドルにもメジャーへの経過として活動してる子とそうでない子がいますが、基本的にインディペンデントな存在なのでトップがひとつではないと考えています。

もし質問者の"トップアイドル"が地下でなくメジャーの中でのことを指しているとしたら、それは私が個人的に目指しているものではないからです(と、言うと偉そうですが、やっぱりなれないです)。

 

地下アイドルを売れないアイドルと説明しているのは、個人的にその身分を気に入っているからだという説明も抜け落ちていました。

小さい頃から何々っぽい何々というのが苦手で、アイドルなのに売れてないとか、アイドルなのにこんな活動をする、というのに魅力を感じます。

 

そんなあまのじゃく気味の私の活動はここ一年で更に多岐にわたり、エロ本での連載も増え、AV監督へのインタビューや女優さんのトークショーで司会をやらせてもらったりしています。

地下アイドルとしてもライブのオファーが増え、おかげさまで細々と活動できています。

一年前と変わらず、自分が気に入っている地下アイドルのまま、自分が好きなアダルト業界で仕事をしていきたいという気持ちです。

 

が、やはり立ち位置があまりにも特殊なため、久しぶりにアイドルライブに出ては関係者から「なんかエッチな仕事してるんでしょ?知り合いに頭おかしい奴いるから一緒に仕事してやってよ。」とか「すごい露出してるんだから、ライブも露出してやれば集客伸びるんじゃない?もう恥ずかしくないでしょ」とか「もうAV行くしかないね」とか言われて、もう悪意のない攻撃の嵐です。

言いたいことは分かりますし、アダルトの仕事に偏見を持たないでとも言いません。もちろんアダルトの業界には頭おかしい(褒め言葉)人もいますが、平気で他人にそういうことを言える人はいません(少なくとも私の周りには)。

相手が嫌がることはしないようにしよう、っていうのは、自分が嫌じゃなければ相手にしてもいいってことじゃないんですよ……。

自分が中途半端な立場にいるくせに、ふつふつと怒りとも悲しみともつかない感情がわいてきて、一年くらいじゃ人って変わらないんだなって、ちょっとおかしいような気持ちです。

2014.3.13 姫乃たま