チケット完売もブレイクの兆しなし! 地下アイドル姫乃たまの誕生日イベントは「雑誌編集」がテーマ
誕生日を記念したアイドルのイベントはメジャーインディー問わず、毎日のように行われていますが、フリーランスの地下アイドルは企画、運営、出演のすべてを自ら行うこととなります。と、言うと聞こえは良いですが、つまり自分の誕生日会をひとりで盛大に開催しているのです。しかも周囲の大人を大いに巻き込んで。
2015年2月22日に姫乃たまの誕生日イベント「姫乃たまの22才がやって来る!ニャア!ニャア!ニャア!」が、阿佐ヶ谷ロフトAで開催されました。初めて自らの誕生日イベントを主催した17歳から数えると、6回目になります(え、本当に? 書いてて軽く目眩が……)。
[22才、新しい衣装も開き直っております。]
これまで通常の音楽イベントやワンマンライブ、トークメインのイベントにしてみたりと試行錯誤してきましたが、今年はジャンルを問わず私が好きな演者さんに集まっていただく形にしました。何度も運営してみて、主催イベントとはつまり雑誌編集のようなものだと感じたためです。
私の出演時間も主催にしては少なく、ジャンルレスの演者が15分ごとに代わる代わる登場するのですが、これはイベント自体が姫乃たまの編集した雑誌のようになっているためであります。会場へのこだわりはただひとつ。お酒とごはんがおいしい場所。
椅子に座って飲み食いしながらめくる1頁目は、キングオブ前座ことマーライオンくんでした。
腐ってもアイドルの誕生日イベントなのに、諸事情で本人よりも先に登場しなければならなかったのですが、客席からは食べ始めたカレーの白米を口の端から飛ばすほどの大歓声が巻き起こっていました。
[男の子と女の子の恋のうたを弾き語る優しいマーライオン]
[最近始めたラップを披露する“悪い”マーライオン]
その後、諸事情こと、必死にペンギンへと変身していた私が顔出しなしで初登場。サプライズのはずが独特の妙な動きのせいで瞬時にバレ、会場にはお遊戯会で聞こえる類の笑いが広がっていました。そんな会場の笑いを魔法のようにエレガンスに変えるJUMEAUX OBSCENESのおふたり。
[んん……このペンギンは……!?]
人形のような本物の女の子、その名はスペィドが登場し、一気に華やかなパーティー感が増す舞台上。客席も大盛りあがり! と思いきや、地蔵のような眼差しでうっとりとルックスに釘付けになってしまう人が続出。
[本物の女の子です。動きます。]
続いて、ペンギンから猫に変身した姫乃たまがようやく歌いだしました。イベントの前半に新曲を立て続けに披露したのは、もちろんイベント後半の酔っ払い対策です。
[FriendlySpoon作曲の「左から三番目の星」と、STX作曲による「ジョーストラマー(仮題)」をお披露目。]
ロック座所属のマルチパフォーマー若林美保さんによるショーで前半は幕を降ろしました。
[私は彼女を20年生きた猫の進化系だと思っています]
若林美保さんのショーがあまりに美しくセクシーだったので、観客の自家発電の時間を考慮して休憩をとりました。私は新曲のお披露目を終えたので、後半は舞台上で飲みながら司会。満席も満席の客席と、次々と登場する好きな演者さんたちを交互に眺めて幸せを噛み締めていました。
後半戦のひとりめは、最年少、ハタチのラッパーGOMESSくん。正真正銘のラッパーですが、ヒップホップにもアイドルにも、どこの界隈にも収まらず交わるという男の子で、誰もしっくりくるはずのない今回のイベントに最も自然に交わっていました。
[もっと見ていたかったという反響が最も多かったです。]
この日は、数日前に発表された3月18日にリリースされるアルバム「し」から、姫乃たまとのコラボ曲「KEEP」を初披露。ラップとポエトリーが入り乱れた20代前半を生きるふたりの楽曲です。
[20代前半をフリーランスとして生きる不器用なひとたち]
フレッシュなGOMESSくんの後は、大御所ライターふたりによる人力マッシュアップユニット、リオブラボーが登場。リズムボックスとアコースティックギターという編成で、80年代の名曲を中心に10分ほどノンストップで演奏します。
[事前に「バースデーソングを歌うからね」と告知されていたため、リアクションに困る私]
ボーカルで参加した際にメガネをかけていたのは、あまりに楽曲が緻密すぎて歌詞カードの級数が異常に小さいせいです。
[自分以外のパートは飲みながら待機するダメさ。]
80年代の名曲に対する反応の良さで、客席の年齢がはかれたところで、3K(キツイ、キタナイ、キケン。時々、クサイ)小劇団ゴキブリコンビナートよりアイドルユニットBBG48が登場。BBG48は分倍河原の略です。「ゴミ漁りの歌」「ハゲ、別れろ」「まんずりサンバ」など5曲を披露。
[物販ではCDが完売していました。大人気!]
最後のゲストは、ちょっぴり変わった昭和テイストの楽曲で心を鷲掴みにする町あかりさん。濃ゆい共演者の空気をまとめて昇華する、ゆるやかなパフォーマンスに、この日も会場のハートは盗まれていきました。
[このピコピコハンマーで叩かれると誰もが天に昇ったような表情になります。]
そして最後はすっかりほろ酔いの私が、普段のライブでアンセムになっている「ハロー!まっこふーみん」と「ねえ、王子」を歌いました。
[もともと酔っ払ってるようなクオリティの歌と踊りなのです。]
そうそう、恥ずかしながら私物抽選会なるものもやってみました。
[私物だけで満足していただけるかわからず、ハグを頼んでファンに引かれている場面]
細やかなスケジュールだったため、主催としてはあっという間に楽しく、観客の方々の気持ちも気になりながらイベントは終了しました。
イベントの終わりに、特に嬉しくも悲しくも痛くも痒くもない発表をふたつしました。ひとつめは4月3日に鈴ん小屋という、土足禁止の地下にあるカレーが美味しいライブハウスでトークメインのイベントを開催すること。ふたつめは大学を卒業できるようになったことです。
前者は今回のイベントよりも規模が小さく、後者にいたっては学生からフリーターになってしまうという、どちらも見ようによっては下降した発表でしたが、私としては上向きな気持ちでの発表でした。数字でも肩書きでもはかれない、濃密な22歳を過ごしたいと思います。これからも、辞め時を逃した地下アイドルの応援をよろしくお願いします。
[酔っ払ったので紙を見て発表内容を思い出しています]
そして最後の最後に若林美保さんがサプライズのバースデーケーキを運んできてくださいました。この日に起きるサプライズはすべて把握していたつもりだったので、不意をつかれて本当に驚きました。
ここまで誰への感謝も綴られていませんが、いちいち言葉にしているとそれだけでイベントもレポートも終わってしまうせいです。阿佐ヶ谷ロフトAさん、出演者、スタッフのみなさん、何よりもご来場くださったみなさま、すべての人にありがとうございました。
追伸:終演後、関係者より「チケット完売おめでとう! 姫乃さんはブレイクの匂いがしなくて不思議。町あかりさん最高!」という、メールをいただきました。正直すぎるよ!
写真提供:林 佑樹/和尚
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2015年4月3日(金曜日)